JTの第三四半期決算の内容について
これまでJTについては明るい材料がなく株価も低迷しておりますが、
決算内容をよく読むと決してマイナス材料ばかりでもありません。
海外たばこ事業の強さです。
今回の記事ではJTの第三四半期決算内容を振り返り、
ついでにJTに対するネガティブな要素について私見を述べていきたいと思います。
第三四半期決算の概要
まずJTの第三四半期決算についての概要です。
全体的に減収減益とネガティブな決算になりました。
売上は2.5%減、営業利益も11.4%減となり、
為替一定調整後の営業利益も2.2%減となります。
なお第三四半期における
営業利益率:24.5%(為替一定ベースでは27.7%)
営業キャッシュフローマージン:25.01%
と相変わらずの高収益体質であります。
全体的に申し上げれば、
・為替のマイナスインパクトは強いが、それを跳ね除ける海外事業の強さ
海外事業における調整後ベース営業利益率はほぼ30%近く
・国内事業は電子タバコ次第、それでも調整ベース営業利益率は30%ちかく
とかくネガティブなニュースが続くJTですが、
JTの強さは「高い参入障壁・市場独占権による高利益率」
であり、この利益率が崩れる可能性は低いです。
とにかく新規参入のない業界です。
嫌煙、ESG投資などで嫌われるたばこ業界ですが、
企業そのものを見たとき、JTは優良企業と扱ってよいと思います。
十分に投資対象になりえる企業です。
国内たばこ事業について
JTのネックは嫌煙、禁煙のトレンドによる市場縮小が続く、国内たばこ事業です。
いくら占有権を持っているとはいえ、肝心の電子タバコのシェアを
フィリップモリスなどの海外勢に奪われているのが痛いです。
決算資料にもある通り、コロナの影響は200億円程度とのことですが、
例えコロナが無くとも減収減益は免れていない、と思われます。
海外たばこ事業
JTの強みである海外たばこ事業です。
ここだけスピンオフして別会社化してくれないかな・・・買うのに。
円がコロナ禍でも全体的に強く、円高が続く為替のマイナスインパクトを
吸収しても増収増益となっています。
どこまで影響を与えるかですね。
その他事業について
医薬・食品加工事業については、企業全体への貢献度は低いので、
大してインパクトはないのですが、食品加工事業については
売上高はともかく利益率の問題から売却するべき、と
投資家としては思ってしまいます。
足を引っ張る訳でもなく、貢献するわけでもなく・・・。
あってもなくても良いなら無い方がマシだと思いますね。
JT、通期決算を上方修正する
この上方修正は、JTにとって久々にポジティブな材料となります。
「当初見込みより需要が底堅かった」というのが最大の理由となり、
「自社ビルの売却益の上振れ、各事業のコスト削減」によって利益率が
多少改善された面も強く、この点は認識しておくべきです。
FCF(フリーキャッシュフロー)が4150億円と
対前年より108億円増加する見込みです。
配当金支払いについては今期も問題なく行われるでしょう。
ただしJTが増配するかについては期待薄です。
「事業投資最優先」という文言と
「経営資源配分については今後の利益見通しを勘案した上で検討」
という文言から、配当は据え置きと考えるのが妥当かと思います。
といっても1株あたり配当154円、配当利回り7%超は十分魅力的なので
インカム投資対象としてのJTは今後も魅力的な銘柄になるかと思います。
私見:JTへの要望
イチ投資家として(小口も小口ですが)、JTには以下の要望を出したいです。
①株主優待の廃止により、配当金を1円でも増やすこと
②食品加工事業の売却
③海外たばこ事業のスピンオフ
①については自社商品を株主優待としていることから、
そこまでコストは掛かっていないと思いますが、
JTに投資する人のほとんどは「配当金」目的であることから、
少しでも余計なコストを減らして配当金の原資にして
1円でも増配していく、という姿勢を示してほしいです。
②については先ほども触れました。JTにとって売上的にも
さしてプラスのインパクトはないですし、利益率は悪いです。
JTにとって食品加工事業は不要、売却してコストカットして、
その原資を海外たばこ事業に振り分けてほしいと思います。
③については実現しないと思っているので夢物語ですが、
JTが海外たばこ事業をスピンオフしてくれたら、私はその企業に投資したいです。
海外たばこ事業の成長率は目を見張るものがありますし、
メインターゲットが新興国でもあることから、市場もまだ広がるでしょう。