PMとIBMの第三四半期決算について
PMとIBMを取り上げる意味は特にないのですが(おい)、
この2社の決算情報を入手した時に思ったことを記事にしたいと思いました。
米国企業(世界有数の巨大グローバル企業)の増益への意地
は凄い!!と思いました。
コロナ禍で経済活動が停滞している中、減収は止む無しとしても
配当金の増配を基調とする風潮はそこまで変わらないため、
「どんな手を使っても増益したらぁ!!!(想像)」
という米国企業の意地、矜持を感じました。
PMはESG投資が主流化し、嫌煙の風潮が高まる昨今においては
高成長が望めない企業です。同社にとってはマイナスインパクトの大きい
ニュースが飛び交うことが多く、PMだけではなく
たばこ業界全体に悲観的な意見が目立ちます。
IBMはハード中心の事業構造で、PaasやSaasが主流の昨今において、
ソフト事業への転換が遅れており収益確保が難しくなっている、と言われてきました。
コロナ禍で各社がIT投資を控えることで大打撃を受ける、と目されていました。
しかし同社共に第3四半期決算を「減収増益」でまとめてきました。
これこそ米国企業だ!と彼らの底力を見た思いです。
①フィリップモリス(PM)について
昨年は保有していたフィリップモリスインターナショナル(以下PM)の第3四半期決算は昨年同期比で見ると
・売上は減少(約2.6%減)
・営業利益は増加(約16.3%)
・EPSは増加(1.48ドル。前年同期比で約20.3%の増加)
という減収増益の決算となりました。
たばこという景気に左右されない商品とはいえ、
コロナ禍で売上が少し減るのは嫌煙の風潮も相まって仕方なしですが、
利益はしっかりと確保、増益です。企業としての底力を見せてくれました。
たばこ業界は逆風続きですが、ここにインカム投資家としては
大きなチャンスがあると思っています。低迷する株価の中で、より多くの
株を買い集めて、次の株価上昇時に総合利益を得られます。
②IBMについて
IBMは保有していないのですが、前職でそれなりに関りがあったので
いつも決算に注目している企業の一つです。
第3四半期決算の結果は以下の通りです。
・売上は減少(約2.6%減)
・営業利益は増加(約19.9%)
・EPSは減少(2.27ドル。前年同期比で約21.2%の減少)
EPSが減ってしまいましたね・・・。ここは残念です。
補足:IBMは今、買い時なのでは?というお話
IBMは大手IT系銘柄の中では業績が低迷していますが、
これから先のことを考えるとIBMは成長の可能性があります。
IBMは今が買い時になのでは?というお話です。
まず下のグラフは10年前の2009年からの同社売上推移です。
2011年を境に右肩下がりの業績となっています。
この原因はハッキリとしています。
IBMはサーバーなどのハードウェア製造・販売保守を主な収益源としてきましたが、
2011年以降にクラウド技術が発展していきました。
代表的なところでいうと、アマゾンウェブサービスやマイクロソフトAzure、セールスフォースドットコムなどがSaaS、PaaSのサービスを急速的に展開していきます。
私は前職においてサーバー構築・保守案件を担当していたこともあるのですが、
クラウドサービスへの需要は日に日に高まっていた印象を受けました。
何せサーバーいらずでソフトウェアを好きな時に好きな量を使えますし、
PaaSを使えば基本、土台であるプラットフォームの構築の手間、
様々なソフトをインストールするを手間や管理などの業務負荷を大幅に削減できます。
IBMは長年、ハードウェアで巨大な売上やシェアを得て、広大な販売保守網を持ち、
その顧客からの信頼も厚かったかと思います。
しかしハードウェアを持つか、上記のクラウドサービスを使うかを考えたとき、
大抵の顧客は利便性を考慮してクラウドサービスを使います。
こうなるとIBMは苦しい。ハードからソフトへの転換は言葉以上に難しいですから。
しかし同社はITインフラサービス部門をスピンオフさせることで、
クラウドへの転換姿勢を投資家にアピールしました。
市場はこのスピンオフを評価し、IBMの株価は上昇しました。
これからIBMはクラウド事業などのソフト部門を強化していきます。
そしてその試みは既に為されており、結果が出始めています。
以下、ZDNet様の記事より引用します。
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- クラウドおよびコグニティブソフトウェア事業(Red Hatやコグニティブアプリケーション、トランザクション処理プラットフォームなどの、クラウドおよびデータプラットフォームを含む)の売上高は前年同期比7%増の56億ドルだった。コグニティブアプリケーションは1%増、クラウドの売上高は60%以上成長した。
- グローバルビジネスサービス事業(コンサルティング、アプリケーションマネジメント、グローバルプロセスサービスを含む)の売上高は5%減の40億ドルとなった。
- システム事業の売上高は、「IBM Z」とストレージシステムが減少し、15%減の13億ドルとなった。
以上のようにクラウド事業の成長率の高さ(60%以上)は目を見張るものがあります。
IBMの強みは、これまでのハードによる実績から顧客開拓が難しくないこと、だと思います。IBMのハードを使っている顧客にクラウドへの転換を提案することは簡単ですし、クラウドへ転換したい、という企業はまだまだ多いです。
懸念点はマイクロソフトなどの競合からどのようにしてシェアを奪い取るか、
既に他社のクラウドサービスを利用している顧客をIBMにどう乗り換えさせるか、
これは結構難しいかもしれませんね。マイクロソフトやセールスフォースのサービスは非常に優秀ですからね。乗り換えさせるには理由が必要で、そのストーリーをIBMが描くことができるかは、まだ不明です。
IBMの事業転換はまだまだ道半ばですが、ITインフラ部門のスピンオフは
同社の決意を露にし、成長への意欲を明確にしてくれました。
ということで私はIBMの購入を検討中です。
PERは15倍以下と株価は低く抑えられていますので、
買い時と判断して徐々にですが購入していきたいと考えています。